釣心あれば魚心

「都会の人間は袋の中の石ころだ」～サマセット・モーム

尖った石も、角ばった石も、袋の中でもまれているうちに、角が取れて丸くなりみな同じになってしまう。袋に収まりきらない大きな石、規格外の形をした石も確かにあるかもしれないが、サマセットおじさんの名句に苦笑いしながら自身を投影する方もいらっしゃるのではないだろうか。

日本のオフィスが有楽町にある私も、満員の通勤電車に詰め込まれていると
この言葉を反芻してしまう。

薄暗い袋の中では味も素っ気も無い同じ形の石ころ。


袋から取り出し手にとれば石それぞれの模様が見て取れる。

転がる石ころ。

転がりながらその身を研磨し、丸く磨き上げられて現れる多彩な様相。

輝く石ころ。

休日が終わればまた袋に放り込まれる石ころ。

だから、今は、もっと、もっと。